ご挨拶

日本におけるヘモビジランスに関しては、1993年より日本赤十字社で輸血副反応の情報収集が開始されました。2007年からは日本輸血・細胞治療学会では輸血副反応のチェック項目を統一化し、医療施設からオンラインで情報を収集するシステムを構築し、国内の輸血副反応に関する情報がモニターできるようになっています。

この度、厚生労働科学研究において、供血者の選択から受血者の転帰まで(Blood transfusion chain)を追跡できる新たな輸血製剤情報システム(Japanese Hemovigilance Scheme with secured Traceability: J-HeST)を構築いたしました。

本システムにより、日本赤十字社の血液製剤製造に関する情報と、医療施設の輸血実施に関する情報を、国立感染症研究所に設置したデータ収集・解析センターにて血液バッグの製造番号を介して連結することで、血液製剤の製造から使用までのトレーサビリティの確保を目指します。また、transfusion chainがシームレスにつながることで、輸血に関連する様々なイベントを評価・解析することが可能となります。

2021年より、日本輸血・細胞治療学会のHPを窓口として、全国の輸血を実施しているすべての医療施設からのデータの収集を開始いたします。得られたデータを収集、分析するとともに、ユーザーに提供することで、日本における輸血の安全性の向上と輸血医療の発展を目指します。関係される皆さまのご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

2021年7月
国立感染症研究所 血液・安全性研究部 部長
濵口 功